必修教科 北の食マイスター

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北の食マイスター

農業を正しく理解して欲しい。その思いでいっぱいでした。

学校長)どのようなキッカケで「由仁ふれあい農業小学校」を始められたのですか?
三田村)12年前の平成14年から始めたのですが、当時から健康志向が高まり、アレルギー問題や農薬問題、遺伝子組み換え作物など、マスコミなどにも数多く取り上げられたことから、食に対する考え方が大きく変わり始めました。
無農薬でなきゃだめ。遺伝子組み換えは怖いなど、イメージが先行する偏った考え方が主流を占めるようになりました。農薬を悪者扱いしますが、必要な時期に適量散布すれば、収穫時には残留農薬はほとんどありません。
このように、実際の生産現場を見ないで、食の現場の一方的な考え方で農業を批判することに疑問を感じ、実際に農業に携わってもらいながら農業とは何かを正しく理解してもらう場として「由仁ふれあい農業小学校」の開校を決意したんです。

一連の体験を通して
農業の本質を理解する。

学校長)どのような方々が来られていますか。
また、どんな内容の勉強をされていますか?

三田村)「由仁ふれあい農業小学校」には、大人をはじめ、子どもたち、一人で来られる方も。近隣の小学校や幼稚園からの団体も来ています。
当初は新聞やホームページで募集していましたが、今では口コミで広がり、雑誌にも取り上げられたことから、募集をしなくても自然に集まるようになりました。一般の方たちでだいたい200組ほど、学校関係も4校で500名ほどの子どもたちが来ています。学びの内容は、実際の農業体験を通して理解を深めるようにしています。春の苗植えから始まり、夏にかけての雑草取り、病害虫を防ぐための農薬の使い方など、それぞれの時期に来てもらい、自身で実際に体験しながら必要な知識・技術を身につけています。一連の流れを体験してこそ農業の本質を理解してもらえると思っています。

理解者が増えると農家さんも農業にやり甲斐を感じ
作物づくりに専念できると思います。

農業小学校で学んだ生徒さんが子どもと共に遊びに来ることも。

Q.長年やっていたら、いろんな出会いや、思いでがいっぱいあるのでは?
三田村)そうですね。農業小学校に子どものころ来ていた子が大学生になり、農業サークルに入ってボランティアで農家さんの手伝いをしたりするのを聞くと、教えてよかったなと思います。つい先日も、以前教えた生徒さんが結婚し、子どもと共に遊びにきてくれました。子どもにも土に触れ、食べ物がどうやってできるのかを知ってもらいたいというのです。親子二代に渡って農業への理解を深めてくれるなんて、すごく感激しましたね。
最近は農業に関心を持つ人たちが増えてくれて、地道にやってきたことがやっと報われたかなと思います。
これからは、農業だけに限らず、畜産業、水産業など、食に関わることに消費者が関心を持ち、理解を深めることに期待したいです。

生産者の心のこもった食材。大切に食してほしいですね。

Q.食材を扱う、これからの調理師の玉子たちに何か一言ございますか?
三田村)「由仁ふれあい農業小学校」を開校したのにはもう一つの思いがありました。それは食材に対する知識の無さです。
過去にこんな経験がありました。「私の作ったキャベツにミミズが入っていたと苦情を受けた事がありました。
雨の日に収穫したのでミミズが葉の中に逃げ込んでいたらしく、買った奧さんが切ったら中からミミズが出てきてビックリ。全部捨てたと言うんです。キャベツ自体はおいしくできていたのに、何も全部捨てることはないだろうと思いました。
昨今は、食べ物を大切にする気持ちが薄れてきたのか、残念でしかたありませんでした。
これからおいしい料理を提供する調理師を目指す学生さんには、食材を扱うプロとして、食材を見極める目と、物を大切にする心も同時に育んでほしいと思います。そのためには、食材の生産現場に直接足を運び、生産農家のこだわり、情報収集なども心掛けると、提供する料理にもこだわりと自信が持てると思います。

〔北の食マイスター学〕 1年の主な内容
●北海道の水産業について。北海道における魚介類の加工品。
●北海道の米について。稲作の一年。農業小学校の取組。食育活動(子供の農業体験)について。
●果樹収穫体験(仁木町)。もちつき体験。
●日本の発酵文化。杜氏という職業について。日本酒造りのプロセス。
●農産物収穫体験(由仁町)。収穫物を使った料理作り。
●小樽市漁業組合地方卸売市場見学。鮮魚店見学。価格形成の仕組みなどについての講話。