あいさつ

本校について

本校は調理師養成校として44年を超える歴史と、4,330余名を超える卒業生を輩出する、調理師教育の伝統校です。施設・設備も充実しており、プロの現場で使用される設備の中、伝統的な調理の技術をしっかり学ぶ一方で、新しい調理技術もどんどん吸収していける教育環境を整えています。実習中心のカリキュラムで技術レベルを高め、学外実習を通してプロの技を習得する実践的な指導に力を入れています。あなたも修学院のキャンパスで、新しい感覚を持った調理師を目指してください。

ある時ふと気付いたことがありました。学校で使う米は色々な用途、例えばおかずと一緒に食べるごく普通のご飯、炊き込みご飯、チャーハン、パエリア、バターライスなどに用いるのですが、いつも同じ銘柄の米を使っておりました。しかしそれぞれの料理にはそれに相応しい米の品種あると思います。そこで私は、米の色々な料理に合わせて米の品種を変え、それぞれの特性に応じた水加減や炊き加減を教え、学生が自然と米の名称、特性、料理法を習得できるようにしました。今では、「ゆめぴりか」、「おぼろづき」、「ふっくりんこ」、「ななつぼし」などの道産米を中心に使い分けするようになりました。しかも、「どこどこの農場で生産された米」というふうに、可能な限り生産者が分かる米を入手するように心がけています。

そのように私の関心は、米から様々な食材に広がってきました。トマトやサラダ用の葉もの野菜類は農家に出かけて買い付けしたり、魚介類は小樽に出向いて卸売市場の仲卸しの方から直接仕入れたり、肉や卵などの畜産物も特別な飼育をしているものを仕入れたりと、すべてというわけにはいきませんが、できるだけ生産者の方、あるいは流通の方と顔が見える関係を保ち、そこで得た情報、例えば無農薬栽培や有機栽培、減農薬栽培などの工夫をされている色々な栽培方法や実際の味、または新鮮さといった話しの内容を学生に伝えるようにしています。そうすると学生達の食品の安全安心の問題や食材のもつ本来の味、食感など食材に対する関心がより高まってきたように感じました。また、修学院独自の食育ファーム設立をめざして昨年よりはじめた野菜の栽培も少しずつ軌道にのりはじめました。4,000平方メートルの畑のまだ半分しかうまっていませんが、1年間分のにんにくや季節の野菜などを栽培し、収穫のつど学内に展示して学生に見せ、また調理実習で使用しています。それを見た学生が驚いて歓声をあげるのが今はとても楽しみです。

「北の食マイスター学」や「食品加工産業論」、「食育指導者養成セミナー」では、できるだけ生産者の方々に授業をしていただいたり、あるいは農業体験として農家に出向いたりして、学生が生産者の苦労を学び、彼らが生産した食材のおいしさに触れる中で、「自然の恵みに感謝する心」、「食を大切にする心」、「生産者の事を思い浮かべ、さらに食べてくれる人たちの事を思いやった料理が作れる料理人」を育てていきたいと思っています。そして、安いものを仕入れて利益を産むという発想や、ただ与えられたものをおいしく作るという発想ではなく、生産者の方や食材との出会いを通して豊かな発想力を養い、味や形、食感そして栄養価などの特性をできるだけ生かして「おいしくて健康によい料理」を作れる料理人を育てていきたいと思っています。